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シンプルにESG投資と今後の経理について整理してみる

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2021.09.22

CFOオフィス事業本部 事業2課 課長 市﨑 貴也

<この記事の要約>
✓ 現行会計基準の財務諸表では企業価値の半分も説明できていない可能性がある
✓ 日本企業のBPRを上げるためには非財務情報の定量化が必須
✓エーザイ株式会社CFO柳良平氏が定量化の第一歩となる実証研究を実施
✓ESG投資の遅延浸透効果による財務諸表への相関関係があることがわかってきた
✓業種ごとにESG要素が異なる為、各社毎に分析していく必要がある
✓上記取り組みにより経理部はコストセンターからプロフィットセンターへ生まれ変わる
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昨今「企業の長期的な成長の為にはESGに取り組むことが重要」という考え方が、日本企業においても広く認知されてきたのではないでしょうか。

業種にもよりますが、取り組み事例等も多く上げられ、各社のIR・統合報告書に記載されていることも増えてきたのではないかと思います。

このESGですが、とりわけ個人投資家などには厄介な概念だと叫ばれており、

「いままでは定量的な財務諸表がある程度読めれば投資判断が出来ていたものの、“ESG”の登場で定性情報も含まれる多くの要素を分析する必要が出てきた」との声も上がっています。

これは、
1. 現行会計基準の財務諸表情報のみでは企業価値(投資価値)を判断しきれない
2. ESGが企業成長にどのくらい影響するのかの分析が難しい
という2点に整理されるかと思います。

一点目について、『The End of Accounting and the Path Forward for Investors and Managers』という書籍の中でニューヨーク大学のLev教授は、
「USGAAPでは今や企業価値の半分も説明できない」という言葉を残しています。

また、OCEAN TOMOの調査によると、S&P 500の市場価値の要素をTangible AssetsとIntangible Assetsで分解した際、2020年には9割がIntangible Assets、つまりのれんが占めていることがわかります。(下図、参照)

(出所:Intangible Asset Market Value Study, OCEAN TOMO)

以上から、特にPBRが5倍を超えるような高い市場価値の企業は、財務諸表情報に加え、見えざる価値(ESGを含む非財務情報)を評価されていると考えられます。

しかし、日本企業においてもESGの取り組みをしているにも関わらず、アメリカやヨーロッパ諸国と比較するとPBRが低いところに位置している状況です。

これは二点目のESGと企業成長の影響度合いが分析しにくい=企業価値がわかりにくいという話にもつながりますが、日本企業の価値を向上させる為の重要なファクターとして、
ESG投資(非財務情報)による財務諸表(企業成長)への影響が定量的に示されることが期待されます。

この定量化(見えざる価値の可視化)に対して、大きな手助けとなる”柳モデル”がエーザイ株式会社 専務執行役CFO柳良平氏より提唱されています。
詳細については、エーザイの『価値創造レポート2021』をご覧頂ければと思いますが、柳氏は、ESGとPBR(株価純資産倍率)の同期化モデルに基づいて、エーザイのESG関連のKPI(重要業績評価指標)と企業価値との相関性を定量化する実証研究を行い、『価値想像レポート2021』にて公表されています。

例として、感応度分析(信頼区間95%における平均値試算)では、以下のような結果が得られています。
・人件費投入を1割増やすと5年後のPBRが13.8%向上する
・女性管理職比率が1割改善すると7年後のPBRが2.4%上がる

端的に言えば、財務諸表への相関関係があることがわかってきたということになります。

もちろん、この”柳モデル”は、業種によってESGの要素が異なる為、各社にて必要なデータを取捨選択して、分析をしていく必要がありますが、経理部門がこの取り組みに着手することで、
単なるコストセンターから企業価値を何百億レベルで生むプロフィットセンター化することが可能になります。

柳氏の地道なデータ収集からの研究であったかと思いますが、『自分で稼ぐ』経理部門へ変革を促すような後押しをしたのではないでしょうか。

とはいえ、現行業務として連結財務諸表や開示書類の作成は義務であり、自社の経理部員で本当に注力したい業務に時間を充てられないこともあるかもしれません。

その際は当社までご連絡頂き、決算業務アウトソーシング等の様々なサービスにより、必要なリソースを空けて、自社の社員を付加価値の高い業務にシフトしていただくことが可能です。

是非ご検討いただけますと幸いです。
正しく市場に評価される土台を作り、一緒に日本企業をバリューアップしていきましょう。

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