コラム

ブラックホールと300万とスパースモデリング

CFOオフィス事業部  アウトソーシングサービス3部  1課   神田 志雅

先日、世界で初めてブラックホールの撮影に成功したことが大きなニュースとなりました。
世界中に電波望遠鏡を設置し、同時に測定することで地球サイズの超巨大仮想望遠鏡を作成するという、途方もない国際プロジェクトです。
この成功により初めてブラックホールの存在が画像によって直接証明されることとなりました。

ブラックホールは、1915年にアインシュタインの一般相対性理論を受けてカール・シュヴァルツシフトが導いた解によって存在可能性が指摘されて以降、様々な学者が研究を重ねてきました
その過程においては、理論上発生する特異点はあくまで数学上のものでしかなく、現実に存在するものではないと頭ごなしに否定されてきた時代も長く存在しました。
今の私たちには常識である地動説も、ある時代には天動説によって否定されてきたことを踏まえると、まったく不思議なことではありません。

さてそのブラックホールですが、
「超大な重力によりすべての物質を吸い込み、光すらも脱出できない空間」
と知っている人も多いのではないでしょうか。
SF映画などではクライマックスの盛り上がりどころに登場することも多いですよね。
余談ですが、2014年に公開された映画「インターステラー」で科学シミュレーションに基づいて作成されたブラックホールのCG映像が、今回撮影されたブラックホールに酷似していたことがちょっとした話題にもなっていました。
映像的にもすばらしいので機会があれば見てみて下さい。

光も吸い込まれるのに撮影できるの? と思うかもしれません。
実際、ブラックホールの観測は光学的なアプローチではなく、X線の測定により行われています

X線の発見以降、これまでにも場所を特定、あるいは推測を立ててきたブラックホールはいくつかありますが、その中でもダントツで巨大なブラックホールが、今回撮影されたブラックホールです。
ブラックホールは大質量を持ちますが、非常にコンパクトです
対して、今回地球サイズの仮想望遠鏡を用意して得た視力が300万。
人間だと視力がかなり良いとされる人でも1.5くらいでしょうか。
視力が300万あると、月にあるゴルフボールを視認できるそうです。
その視力で、超巨大なブラックホールがようやく撮影可能となりました。
今後は更に小さいブラックホールの撮影に挑戦することになるのでしょう。
しかし300万の視力で観測したデータでも、あのオレンジ色のシャドウが映った画像にするには情報が少ない、すなわち画質が荒い状態でしかありません。

今回のニュースで、両手を広げた女性が大量のハードディスクと一緒に写っている写真を見た方も多いのではないでしょうか?
あのハードディスクの中には大量の観測データが入っているわけですが、あの量のデータですら「画質は荒い」わけです。
ではそんなデータでどうやってあのオレンジ色の光輪の画像にしたのか?
その方法のひとつが「スパースモデリング」という情報抽出技術になります。

近年ディープラーニングや機械学習といった情報集積技術が注目されていますが、それには元となる大量のデータが必要となる上に、量・質共に充分なデータが得られなければ有益な情報を得ることはできません。
そして、どんな現場でもそれだけのデータが集積できるとは限らないのが現実でしょう。
そこで用いられるのがスパースモデリングです。

スパース(英sparse)とは「すかすか」「少ない」と言った意味で、つまりスパースモデリングは「すかすかなデータから全体像を知る技術」なのです。
今回のブラックホールの撮影においても、観測データを可視化できる画像にするため、スパースモデリング的なアプローチによる画像化作業が行われました。
すなわち、部分部分がバラバラであったり不足があったりする観測データに対して、本質的な情報は限られるという仮定をおいて最適解を求めるという技術です。
そうすることで、少ない情報から信頼性の高い画像が得られるので、今回のブラックホールの直接証明に至ったというわけです。

ビジネスの現場においても、日々の作業や取引で発生するお金のやりとりは、ただ集積しただけではただの数値です。
そこから価値ある情報を得るには、「すぐれた目」と「情報の本質への理解」が必要になります。
私たちフィエルテは、会計業務に対する深い理解と培ってきたノウハウによって、信頼性の高い財務情報を効率よく集積する、決算アウトソーシングサービスを提供しております。

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