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資金繰り予測なんて何の役にも立たない!

  • トレジャリーマネジメント

2016.06.07

資金繰り予測なんて何の役にも立たない!

「資金繰り予測をしたところで当りもしないし、余計な業務が増えるだけで役に立たないので作っていません。BSとPLがあれば充分です。」
このようなことをお客様から頻繁に伺いますが、私にしてみると、「カーナビで表示される目的地への到達予定時刻があくまでも目安でしかなく、実際に到達する正確な時間を教えてくれないのでドライブするときにカーナビは一切使わず、代わりに電車や飛行機の所用時間はとても正確なのでドライブで目的地までにかかる時間については、電車や飛行機の所要時間を基に計算しています。」と言っているのと同じくらい不思議な感覚に陥ります。

本当に資金繰り予測は何の役にも立たないのでしょうか?

確かに昔は、資金繰り予測業務は多大な労力が必要だったばかりか、その結果の正確性も怪しいものでしかありませんでした。
しかし、2008年頃から金融取引に関連するIT化が急激に進んだ結果、その状況は過去のものとなりました。
全ての企業の存続に係る重要な指標は現金がショートしないかどうかということであり、貸借対照表を作るより重要であることは疑う余地がなく、それゆえにトレジャリーマネジメントシステムを設計開発する際には、企業の経営判断をするための強固な基盤となりうるために何が必要なのかということに多大なる時間を割いてきました。
ポイントは資金繰り予測の結果をどのように活用するのかという点ではなく、どのようなアプローチで資金繰り予測のデータを作成するのかにあります。
ほしいデータがどこにあるのか、どのようにすれば精度の高いデータを入手できるのかについてのアプローチについては次の点を検討することで明確になるはずです。

ステップ1:資金繰り予測とBSやPLの予測は無関係であるということを理解する。

確かにBSやPLデータから簡易的に資金繰り予測を作成することは一見可能ですが、あくまでも簡易的なものに過ぎず、そもそも実際の資金の入出金予想以外のBSやPL等の二次データから正確な資金繰り予測を作成することは物理的に不可能であり、この事実を踏まえることにより、資金繰り予測が以下の点で役立つということが理解可能になります。

1:基本的にはどんな精度の低い計画だったとしても全く計画がないことに比べればはるかに好ましい状況です。
無計画でいると能動的なアクションが取れず、様々な事象に受け身の対応をすることを余儀されてしまいますが、計画をもつことで自らの意思決定を基に未来を進んでゆくことが可能になります。

2:計画を持つということは、日々の意思決定のよりどころを持つということになります。
予測というのはその予測した特定の将来の状況が、予測した時点での想定通りになっているということを確かめるために行うためではなく、将来を見据えたリスクマネジメントの観点から健全な意思決定をし、その結果を実際の行動の実行やそのしかるべき軌道修正を行うために実施するものです。

3:資金繰り予測は本当に特殊な事情を除くと、通常は給与支払・家賃・顧客からの入金・仕入先への支払等のようなシンプルな構成要素で容易に作成可能で、他の予測データとは連携していないものです。このような構成要素を基に作成された資金繰り予測を基に財務部にて考慮すべきリスク兆候の発見することがでるようになります。

4:資金繰り予測の年間計画の最終日だけに重要性があるのではなく、365日それぞれの日で資金不足になっても悲惨な結果となるためすべての日が同じように重要性があります。
そのため、資金繰り計画の末日や、各月末の残高だけしか考慮していないという状況はとても大きなリスクを内在しているということになるのです。

5:これは資金繰り予測だけでなく通貨リスクについても当てはまるのですが、全体として手元資金の残高が担保されていたとしても、通貨毎に見ると不足が発生している場合があります。
そのため、資金繰り予測管理にあたっては「資金調達」と「ヘッジ」の両方について考慮しながら行う必要があるのです。

6:流動性予測データの精度向上にあたっては、担当者による予定日付を含めた各種判断や推測が必要なため、単純に様々な外部システムから自動的に連携されたデータについては、人による判断を介していないため流動性予測にインパクトを与えうるものとはなり得ません。

ステップ2:計画がない状態で何かしらの意思決定をすることはできず、信頼できる情報無しに意思決定するのは命取りであることを理解する。

これだけでも資金繰り予測を作成する必要性としては十分です。さらには、資金繰り予測期間の最終日時点で十分手元資金がある予定であっても、場合によってはその期間中の数週間だけ資金が不足しているという可能性があります。
そのため月末など特定の日だけの資金の状態を考慮しているような場合にはリカバリー不能な資金不足が途中で発生しているかもしれませんし、資金不足のリスクの把握が遅れれば、資金調達の交渉期間を考慮すると対応が間に合わない可能性もあります。
これらは企業規模に寄らずすべての企業にとって資金繰り予測が必要であることを示しています。

以上のご説明で、資金繰り予測の重要性についてご理解いただけましたでしょうか。
資金繰り予測をすることでいくつもの選択肢が見えてきます。
そうなると次の関心事は、どのようにしたら資金繰り予測の効果を最大化するような導入を行えるのかということになるでしょう。

それは実にシンプルなソリューションで解決できます。
つまり、カーナビを使うのです。これにより、電車や飛行機の時刻表などのデータから到達予定時刻を推測することに比べて、より現実的で役に立つ情報を知ることができるのです。
ぜひ、トレジャリーマネジメントシステムというカーナビを利用して資金繰り予測の効果を実感されることをお勧めします。

いかがでしたでしょうか?

次回のコラムは

マルチラテラルネッティングの知られざる効果

を予定しています。

コンサルタント・深山

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