コラム

グローバル資金管理でよくある10の誤解

今までの様々なお客様とのグローバル資金管理に関するディスカッションを通じて感じた、グローバルな資金管理に関するよくある10の誤解についてご紹介いたします。

グローバル資金管理の検討の際に参考にしていただけますと幸いです。

1.”我がグループの請求業務は、自国の通貨のみで行っているため通貨リスクは存在しない”
輸出型の企業の場合、為替相場のほんの小さな変動が輸出先の市場価格に重大かつコントロール不能なインパクトが発生する可能性があります。さらに、価格競争にさらされている市場の場合には価格転嫁ができず営業損失の発生可能性すらあります。

2.“結局現実の結果とは一致しない資金の流動性予測をしたところで何の役にも立たない“
資金の流動性予測は特定の将来の日の資金量を予言するためのものではなく、将来に必要となる資金量および為替リスクにさらされている資金量を予測するためのものです。このような予測により適切な資金調達の実施や為替ヘッジの実施には、このような予測が必要不可欠です。

3.“取引銀行で我が社向けにデリバティブを組んでもらっているので為替リスクには十分な対応を実施済みである“
まずは、為替リスクにさらされている資金量に対してヘッジすべき割合を計算し、次に適切なヘッジ手段を探す必要があります。個別にデリバティブ商品を組んでくれるような革新的な銀行の金融商品は、多くの場合不明瞭な内容だったり、投機的な内容だったりします。そしてそのような金融商品は得てして銀行に有利な条件になっています。

4.“我がグループはすべての会社でERPシステムを統一しているのでグローバル資金管理システムは不要だ “
今はそうかもしれませんが、将来的な新規営業所の立ち上げや外国支店立ち上げ、さらに言えばM&Aのことも考慮に入れていますでしょうか?ERPシステムが統一された状況を将来的にも担保し続けることはなかなか現実的ではありません。

5.“いつも請求は一方通行なのでネッティングする必要はない“
互いに取引関係を維持する5つ以上の子会社を持つ企業が、ネッティングを行なわなくても問題がない状態というのは非常に稀です。

6.“我がグループではグループ会社間取引に際して、両社の口座で同時に入出金を実行するので常に会社間の口座残高は一致している
相互の会社間での承認プロセスを経ず、会計上の会社コードやクライアントコードのデータ登録のプロセスのみの場合には、一種の“影の融資”が発生していることが往々にしてあります。相互の会社でのすべての関係者が会社間取引のプロセスに関与の上、照合処理を含め責任を持って対応を行うことはとても重要です。

7.“支払をこれ以上最適化する余地はない”
もしヘンリーフォードが彼と同じ時代に生きた人から受けたアドバイスを元に行動していたら自動車を開発する代わりにより速く走る馬を育てていたでしょう。BELLIN社の提供する支払に関する仕組みを利用すれば、支払プロセスを最適化する可能性はまだまだあります。

8.“我がグループでは取引銀行とは既にベストな条件で取引している”
現在の条件が継続して改善されていないのであればまだ改善の余地があるはずです。
銀行との関係づくりにおいては、様々な人が働きかけを行うことでより良い条件にできる可能性があります。

9.“我がグループにはSEPA は無関係だ”
本社はもちろん、その子会社やサプライヤ-やお客様がユーロ圏に存在していないのであればそうなります。しかしながらヨーロッパでビジネスをしていない会社は少数派です。そのため誰にとってもSEPAは重要なトピックとなり得ます。

10.“キャッシュプーリングはいつでも有効に機能する”
キャッシュプーリングをしなければトラブルを抱えることはありません。
一方で、有効性が怪しいキャッシュプーリングはたくさんあります。
そのため、キャッシュプーリングを始める前には、組織的・財政的および法的な観点から、決済口座管理・金利計算、マスターアカウントのプランニング等について分析をしっかりと行うことが重要です。

 

いかがでしたでしょうか。
資金管理業務の理解の一助になれば幸いです。

次回のコラムは

エクセル・ERPとトレジャリーマネジメントシステム(TMS)の違いは何なのですか?

を予定しています。

コンサルタント・深山

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